Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.725 Zeichen · 298 Bildschirme
黒木長者の屋敷へ着くと、その頃顔も名も売れた御用聞の銭形の平次が、神田からわざわざ駆け付けて来たというので、家の子郎党達は下へも置かぬあしらい。
「旦那は?」
騒ぎの中に主人の孫右衛門の見えないのを不審に思って訊くと、
「あまり気を使い過ぎて、奥で休んでおります。親分が見えたと申上げたら、宜しくとのことでございました」
「そうか」
平次は別に追及もしません。
案内に立ったのは、番頭の藤三郎、万両分限の支配人にしては、年も若く人品も立派で、ちょっと武家の用人といった心持のある三十男です。
平次は藤三郎に引廻されて、屋敷の内外、特に人肌地蔵を勧進した厳重な土塀のあたりや、そのちょうど内側になっている金蔵、切り抜かれた穴の様子や、主人孫右衛門の寝所から廊下続きになっている蔵の入口の工合などを、手数構わず念入りに調べ上げました。
「この蔵の鍵はどなたが持っていなさるんだえ」
「主人の孫右衛門が、腰から離しません」
「すると、泥棒がソッと鍵を盗んで、戸前を開けて入り込むようなことはありますまいね」
「そんなことは、あるわけがございません」
藤三郎の顔には、皮肉な薄笑いが浮びました。