Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.725 Zeichen · 298 Bildschirme
話はひどく深刻で実際的でした。黙って熱心に耳を傾ける平次の様子を見ると、千之助は委細構わず言葉を続けます。
「この通りの顔になって、誰も私を千之助と気の付く者のないのを幸い、三月、四月と骨を折りましたが、素人の悲しさ、手掛りの端っこも掴めません――それどころか、お新と長次郎の睦まじさや、吉五郎お辰の仕合せな様子、要助の酒蛙酒蛙した顔などを見ると、凡夫の浅ましさで、所持金を使い果して、乞食のように成り下がった我が身がつくづく情けなく、とうとう我慢がなり兼ねて、無二の友達の一人、ここに居る稲葉屋佐七さんのところに、転げ込みました」
「いや全く驚きましたよ。私はあまり胆の大きい方じゃございませんでしょう。千之助さんと知らないから、裏へ廻って、二人っきりになってから、「実は私は千之助」と打明けられた時は、全く腰を抜かしてしまいました」
稲葉屋佐七は、その時の恰好を我ながら極り悪く思い出した様子で、自分の首筋をボリボリと掻いております。
「稲葉屋さんとも相談の上、ともかくも、親分さんのところへ参りました。――どうぞ、私を崖から突き落した奴を捜し出して、敵を討たして下さい。