Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(三)酒屋火事

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.725 Zeichen · 298 Bildschirme

Aozora Bunko

「親分の紙入の中へソッと入れておきましたよ」

「何、俺の紙入に入れた。人の悪いことをしやがる」

平次は懐から紙入を出して見ましたが、中には鼻紙と小遣が少々挟んであるだけ、結び文などは影も形もありません。

「おや、親分のところへも押掛女房がやって来たんじゃありませんか」

ガラッ八は少しばかり溜飲を下げました。

「そんな馬鹿なことがあるものか。お静、お静、紙入の中に入っていた、結び文を知らないか」

平次は次の間へ声を掛けると、

「これでしょうか」

お静は何の蟠りもなく、小さい結び文を封も切らずに手箱の中から出して持って来ました。

「それそれ、気がきくのも好し悪しだ。紙入の物を始末する時は、一応俺に訊いてからにしろ」

「ハイ」

お静は少し赧くなりました。淡い嫉妬をたしなめられたような気がしたのでしょう。それでも、結び文の封を解かなかったのは、何という仕合せだったのでしょう。内気なお静は襷の結び目をほぐしながら、そんな事を考えているのでした。

「どれどれ、八、お前もかかり合いだ、立ち会ってくれ」

平次は馴れたもので、半紙を二枚ほど持って来て、台の上へ並べると、その上でそっと結び文を解いて行きました。