Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Lisez 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 213 caractères · 325 écrans

Aozora Bunko

前身

「ウーム、おびただしい数だな」

「三十年のお役目は、ふり顧れば、一瞬の間、自分でも、こんなに多かろうとは思わなかった」

「……怖ろしい! 拙者はこれを見ていると、世の中が、怖くなる」

と、五百之進は、潔癖な眉をして、気味悪そうに、顔をそむけた。

そこへ、下男の姿が見えた。一通の飛脚をもって、

「――老先生、長崎から、お手紙でござります」

「さあ、郁次郎から参ったか」

と、老人は、また一つのよろこびを受取って、ほとんど、その手紙へ涎を垂らさんばかりにホクホクしながら、

「ちょうどよい折。五百之進殿、郁次郎からの便りでござる」

「どれ、どれ」

と、五百之進も、顔を寄せて行ったが、花世は、桜貝のように耳を紅くして、父と老人が、低声で読む手紙の内容を、うっとりと、鼓動の胸へうけ容れていた。

前身

「いつ着くな、郁次郎殿は」

「この手紙では、九月の末――十月には相違なく帰るじゃろう。帰府の上は、早速にも、婚儀を挙げたいと思うているが、そちらのご都合は」

「師走ではいかがかと考えておる。――十二月、そして、新春を迎える」

「なるほど。郁次郎めも、こう早く帰府いたすというのは、一日千秋の思いで、一刻もはやく、花世さんの顔が見たいのじゃろう」