Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

Lisez 三国志(三) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 312 452 caractères · 628 écrans

Aozora Bunko

「あ。このことですか」

関羽は自分の袖を顧みて、

「これはかつて、劉皇叔から拝領した恩衣です。どんなにボロになっても、朝夕、これを着、これを脱ぐたび、皇叔と親しく会うようで、うれしい気もちを覚えます。故に、いま丞相から新たに、錦繍の栄衣をいただいたものの、にわかに、この旧衣を捨てる気にはなれません」と、答えた。

聞くと、曹操は感に打たれたものの如く、心のうちで、(ああ麗しい人だ。さても、忠義な人もあるものだ……)と、しみじみ、彼のすがたに見惚れていたが、折ふしそこへ、寮の二夫人に仕えている者が迎えにきて、

「すぐお帰りください。おふた方が今、何事か嘆いて、羽将軍を呼んでいらっしゃいます」

と、関羽へ告げると、

「え。何か起ったのか」

と、関羽は、それまで話していた曹操へ、あいさつもせず馳け去ってしまった。

本来、こんな無礼をうけて、黙っている曹操ではないが、曹操は置き捨てられたまま茫然と彼のあとを見送って、

「……実に、純忠の士だ。衒いもない。飾りもない。ただ忠義の念それしかない。……ああなんとか、彼のような人物から、心服されたいものだが」と、独りつぶやいていた。