Classiques japonais avec furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Lisez 三国志(三) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 312 452 caractères · 628 écrans
五
――ところへ、
「東の方より敵が見える」と、告げる者があった。
五
「いや、敵ではあるまい。お鎮まりあれ」と、夏侯惇はすぐ馬を駆って、鞍の上からはるかへ手をかざしていたが、やがて戻って来ると、一同へ告げた。
「案のごとく、ただ今、東方から続々と影を見せて来た軍勢は、敵にはあらで、曹将軍の御弟曹洪を大将とし、李典、楽進を副将として、先陣の後ろ備えとして参った歩兵勢三万にござります」
帝は、いやが上にも、歓ばれて、
「またも、味方の勢か」
と、一度に御心を安んじて、かえって、がっかりなされたほどだった。
間もなく、曹洪の歩兵勢も、着陣の鐘を鳴らし、万歳の声のうちに、大将曹洪は、聖駕の前へ進んで礼を施した。
帝は、曹洪を見て、「御身の兄曹操こそ、真に、朕が社稷の臣である」といわれた。
都落ちのはかない轍を地に描いて来た御車は、いちやく、八万の精兵に擁せられて、その轍の跡をすぐ洛陽へ引っ返して行った。
――とは知らず、洛陽を突破して、殺到した郭、李の聯合勢は、その前方に、思わぬ大軍が上って来るのを見て、
「はてな?」と、眼をこすった。
「いぶかしいことではある。朝臣のうちに、何者か、妖邪の法を行う者があるのではないか。