Classiques japonais avec furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Lisez 三国志(三) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 312 452 caractères · 628 écrans
三
折ふし、十月の空は灰いろに閉じて、鵞毛のような雪が紛々と天地に舞っていた。
城を離れた三千騎の兵馬は、雪を捲いて寄手王忠軍へ衝ッかけていた。
雪と馬、雪と戟、雪と兵、雪と旗、卍となって、早くも混戦になった。
「そこにあるは、王忠ではないか。なんで楯のかげばかり好むぞ」
大青龍刀をひっさげながら、関羽は馬を乗りつけて、敵の中軍へ呼びかけた。
王忠も躍りあわせて、
「匹夫っ、降るなら、今のうちだぞ。わが中軍には、曹丞相あり。あの御旗が目に見えぬか」
といった。
ふる雪に、牡丹のような口を開いて、関羽はからからと大笑した。
「曹操がおるなれば、なによりも望む対手。これへ出せ」
三
王忠は、唾して云い返した。
「かりにも、曹丞相ほどなお方が、汝ごとき下賤の蛮夫と、なんで戦いを交えようか。もう一度生れ直してこい」
「ほざいたな。王忠」
関羽が馬を駆け寄せると、王忠も槍をひねって、突っかけてくる。関羽はよいほどにあしらって、わざと逃げだした。
「口ほどにもない奴」と、浅慮にも、王忠は図にのって関羽を追っかけた。
「口ほどもないか、あるか、鞍の半座を分けてつかわす。さあ、王忠、こっちへ来い」