Classiques japonais avec furigana
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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
Lisez 三国志(五) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N1. Touchez un mot pour le sens.
N1 · avancé · kanji et kana modernes · 325 249 caractères · 653 écrans
何のことはない。今まで張昭を論争の相手にしていたのは、ここでいおうとする自己硬論を引っ立てるワキ役に引きだしていたようなものだった。
「曹軍の強勇なことは確かだが、それも陸兵だけのことだ。北国育ちの野将山兵に、何で江上の水軍があやつれよう。馬上でこそ口をきけ、いかに曹操たりとも、わが水軍に対しては、一籌を輸するものがあろう」
まず和平派の一論拠を、こう駁砕してから、
「また、より以上、重要視すべきは、国そのものの態勢と四隣の位置でなければならん。わが呉は、南方は環海の安らかに、大江の嶮は東方をめぐり、西隣また何の患いもない。――それに反して魏は、北国の平定もつい昨日のこと、その残軍離亡の旧敵などたえず曹操の破れをうかがっていることはいうまでもない。後ろにはそうした馬超、韓遂の輩があり、前には玄徳、劉の一脅威をひかえ、しかも許都の中府を遠く出て、江上山野に転戦していることは――われら兵家の者が心して見れば、その危うさは累卵にひとしいものがある。……いわばこの際は彼みずから呉境へ首を埋める墳を探しにきたようなものだ。この千載一遇の機会を逸すばかりか、ひざまずいて、彼の陣前に国土をささげ恥を百世にのこすも是非なしと断じるなどは、まことに言語道断な臆病沙汰というほかはない。