Classiques japonais avec furigana
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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
Lisez 三国志(五) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N1. Touchez un mot pour le sens.
N1 · avancé · kanji et kana modernes · 325 249 caractères · 653 écrans
(どうしたら首尾よく味方を脱して、曹操の陣へ無事に渡り得るか)
と、降伏行の相談ばかりしていたのである。
次の日もはや暮れて、日没の冬雲は赤く長江を染めていた。
ところへ、呉主孫権のほうからも、伝令があって、
「呉侯の御旗下、その余の本軍は、すでに舳艫をそろえて溯江の途中にあり、ここ前線をへだつこと、すでに八十里ほどです」と、告げてきた。
その本陣も、ここ最前線の先鋒も中軍も、いまはただ周瑜大都督の下知を待つばかりであった。
自然、陣々の諸大将もその兵も、固唾をのみ、拳をにぎり、何とはなく、身の毛をよだてて、
「今か。今か」の心地だった。
夜は深まるほど穏やかである。星は澄み、雲もうごかない。三江の水は眠れるごとく、魚鱗のような小波をたてている。
周瑜は、あやしんで、
「どうしたということだ? ……いっこう祈りの験は見えてこないじゃないか。――思うにこれは、孔明の詐り事だろう。さもなければ、つい広言のてまえ、自信もなくやり出したことで、今頃は、南屏山の七星壇に、立ち往生のかたちで、後悔しているのではないかな」
呟くと、魯粛は、側にあって、
「いやいや、孔明のことですから、そんな軽々しいことをして、自ら禍いを求めるはずはありません。