Classiques japonais avec furigana
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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
Lisez 平の将門 (たいらのまさかど) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 232 193 caractères · 463 écrans
思い出せぬはずよ。余りな、お変りではある」
「その折は、獄舎の内でも、また小一条まで、お下役に、案内を命じて下さったり、ご親切を、忘れぬつもりでしたが、つい、ご無沙汰しておりました」
「いや、よう見えられたな。……そして、今も、左大臣家に、お仕えかの」
「近頃は、滝口の武者所に、仕えています。実は、きょうは、ちと、お伺いしたい儀があって、出向きましたが」
小次郎は、ここで「八坂の不死人」の名をもち出した。――近頃、内裏の更衣殿を冒した賊があり、それは、不死人の仕業という者があるが、聞けば、不死人は、刑部省の獄で、とうに獄死したともいわれている。果たして、どっちが真で、どっちが嘘か。貴方なら御存知にちがいない。御内秘ではあろうが、そっと、もらしていただきたい――と、巧みに、かまをかけてみたのである。
「えっ、更衣殿へ、不死人らしい賊がはいったとな。もうそんな大胆を、働きおるか……」
犬養善嗣は、眼をまるくして、自分からしゃべり出した。
「いや、たしかに、不死人の身は、左大臣家から差し廻され、いちどは、獄へ入ったが、二晩と、ここにいず、獄を破って逃げてしもうたわ。