Classiques japonais avec furigana
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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
Lisez 平の将門 (たいらのまさかど) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 232 193 caractères · 463 écrans
夜々の辻
むかしから、宮苑の森に虹が立つと戦があるということを、洛中の民は信じていた。
秋の頃には、念仏の声よりも、流言の方が多くいわれ出して来た。
「伊予の純友と、たくさんな海賊兵は、もう瀬戸内を上って、摂津、難波ノ津あたりに時を窺っている」
また、こういう者もあった。
「――それは、東国の将門が、攻め上って来るのを待っているのだ。純友と将門とは、十年も前から、世直しをやる約束を結び、天下を二分して、分け取りにする黙契まで出来ている」
いったい、誰が、そんな事をいい流すのか。
天に口なし、人をしていわしむ――というそれなのだろうか。
「……なあ、弟。まるで、わしたちの為に、誰か、代弁してくれているようなものじゃないか」
貞盛は、ある夕べ、弟の繁盛と共に、辻の空也念仏の群れを見物に出かけながら、途々、そういって、微笑しあった。
――そして、夢に憑かれて踊っているような人影の輪を眺めていた。
すると、烏帽子の下に、また、面を布で包んでいる狩衣姿の男が、ふと、兄弟のそばに寄って来て、
「もしや、あなた様は、右馬允貞盛どのではありませんか」
と、馴れ馴れしく話しかけて来た。