Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Lisez 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 213 caractères · 325 écrans
「待てッ」
と、呶鳴りながら駈けて来た。
「こらッ」
わらわらと、その後から、奉行所の番士たちが追いかけて来るのを、老先生は阿修羅のように振りとばして、
「刑吏! その太刀を下ろすことはならんぞッ、待てッ」
と、叫びつづけて、郁次郎のそばに、両手をひろげて立ちはだかった。
「やっ、老先生」
と、東儀は、床几から飛び上がるほど驚いて――
「な、なんで、大事な執刀の邪魔を召さるか。狂気されたかッ。役儀の遂行を邪げるに於いては、何人とて、用捨はいたさぬぞ」
と、こめかみに、青すじを立てて言った。
「だまれ、東儀!」
老先生は、厳然と、
「――狂気したかとは何たる放言だ。老いたりといえど塙江漢、まだ、気狂うほどの耄碌はせぬ」
「ではなんで、郁次郎の愛に溺れて、刑の執行を邪げなすか」
「いや、邪げるのではない。止めるのだ」
「止める?」
と、鸚鵡がえしに、東儀はあきれたような眼を瞠って、
「いかに老先生でも、法の命ずる下に刑罰する罪人を、お止めなさる権利はない。近ごろ、血迷われたとみえる」
と、嘲嗤った。
老先生は、きっと向き直って、老中太田備中守の執行猶予書を、羅門と東儀の眼のまえに向けて、開いて見せた。