Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 139 230 caractères · 280 écrans
構わないだろうな」
「検屍は済みましたが、親分さん」
近所の隠居らしいのが、恐る恐る抗議するのを背に聴いて、平次は真っ直ぐに通りました。
家の中は思いのほか豪勢で、宗方善五郎の裕福さと、高利の金の罪の深刻さを思わせます。
「誰か案内して貰おうか」
ガラッ八は妙に権柄ずくです。それに応えて出て来たのは、先刻平次の家へ来たお茂与、――よくもこう素知らぬ顔が出来たものだと思うほど、美しく取りすましております。
宗方善五郎の死体はまだ奥へ寝かしたまま。首へ巻いてあった細引は取り外してありますが、
「何もかももとの通り」
とお茂与は言うのです。
死んだ善五郎は五十少し過ぎというにしては老けて見えますが、これは軽い中風のせいだったかも知れません。
「主人の死んでいるのを、誰が一番先に見付けたんだ」
平次の問いは定石通りに進みます。
「私でございました。主人の居間へ来て雨戸を開けますと――」
「雨戸は開いていなかったのだね」
「え、いえ、鍵も桟もおりていませんから開けようと思えば外からでも開けられます」
「で?」
「雨戸を開けると、主人は細引で絞め殺されて、冷たくなって床から抜け出しておりました。