Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入

野村 胡堂

Lisez 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 139 230 caractères · 280 écrans

Aozora Bunko

銭形平次捕物控

一

一

銭形平次はお上の御用で甲府へ行って留守、女房のお静は久し振りに本所の叔母さんを訪ねて、

「しいちゃんのは鬼の留守に洗濯じゃなくて、淋しくなってたまらないから、私のようなものを思い出して来てくれたんだろう」などと、遠慮のないことを言われながら、半日油を売った帰り途、東両国の盛り場に差しかかったのは、かれこれ申刻(四時)に近い時分でした。

平次と一緒になる前、一二年ここの水茶屋で働いていたお静は、両国へ来ると――往来の人の顔にも両側の店構えにも、いろいろと古い記憶が蘇生ります。今の幸福さに比べて、それは決して甘い思い出ではなかったにしても、その記憶の中に織込まれている平次の若いおもかげや、今は行方も知れなくなった多勢の朋輩たちのことなどが、涙ぐましく懐かしく思い出されるのです。

「まア」

その中にも、軽業の玉水一座の絵看板がお静の注意をひきました。花形の太夫は小艶という二十四五の女で、かつては水茶屋のお静と張り合った両国第一の人気者。身持の方は評判の良い女ではありませんでしたが、芸と容貌は抜群で、わけてもその綱渡りは名人芸でした。

もう一人小染というのが同じ玉水一座におります。