Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 139 230 caractères · 280 écrans
四
四
それからざっと家の内外を調べました。白紙の手紙を抛り込んであったという店の格子は、お勝手から廻って家の者でも抛り込めるでしょうし、店の中からそっと置いて外から抛り込んだと見せられないこともありません。
土地の御用聞たちは、主人徳次郎は、先代の義弟といっても何の血統関係はなく、先代の娘の幾代を差置いて、浅田屋の身上を継いだ形になるのですから、幾代には充分徳次郎を怨む理由があったわけで、幾代の部屋の前を通らずには、主人の寝間へは行けないことなど考え合せて、下手人はどうしても幾代の外にはないという意見に一致し、平次が手を下す前に、縛ってしまえと犇めきましたが、手代の幸吉は一生懸命幾代を庇って、いよいよという場合には、自分が名乗って出ようとする様子さえ見せるのでした。
その緊張した空気の中に、平次の調べは着々と進行しました。こんどは娘も雇人も、銘々の部屋へ入れて、一人一人下っ引を監視につけたまま、まず娘の幾代から始めました。
「お前は、たいそう悪い立場になっているが、承知だろうな」
「え」
美しい娘は何のこだわりもなくうなずきます。
「ゆうべ何か物音か人声が聞えたはずだが――」