Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 139 230 caractères · 280 écrans
口上言いの玉六は、一寸法師というほどではありませんが、ひどく小柄な男で福助鬘を冠って、これも裃を着けておりました。
「私はこんな生れ損ないですから、小艶さんには随分からかわれました。でも、小艶さんが死んでしまっちゃ、この興行も立ち行かなくなるでしょうから、今じゃ途方に暮れていますよ」
尤も至極なことを言います。これは柄は小さくとも、四十の坂を越しているかもわかりません。口上言いの外物真似が上手で、役者の声色や、人の口真似などは堂に入った芸でした。
「お前も舞台にいたんだね」
「ヘエー、道化の玉吉さんが衝立へ這い上がる真似なんかして、お客様を笑わせたり、衝立の蔭へ首を突っ込んで唄を歌っている間、私は傍でときどき口上を言っておりました。そこへドシーンと来たんです」
「小艶も小染も独り者だね」
「ヘエー」
「男はなかったのか」
「小艶さんは見識が高くて、小屋の者なんか相手にもしませんし、小染さんは堅い一方の人でしたから」
こんなことではなんにもなりません。
囃子方の半助お百夫婦にもいろいろ訊ねてみましたが、これは貧乏疲れのした中年者で、何にも知らず、
「綱渡りが始まると囃子の方は二人で手一杯ですよ」