Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 139 230 caractères · 280 écrans
二
二
木場の旦那衆で、上州屋荘左衛門が死んだのは、もう半歳も前のことですが、その蓄財――どう内輪に見ても、三万両や五万両はあるだろうと思われたのが、不思議なことに、どこを探しても小判一枚出て来なかったのです。
裕福な上州屋のことですから、御得意に大名方も三軒五軒、手持ちの材木もうんとあり、遺族が困るの、店がどうのという事はなかったのですが、ともかく、うんとあるだろうと思われた現金がほんの当座の帳面尻を合せるだけ、二つの銭箱に少々ばかり入っていたのでは、身寄り一統、奉公人も世間の人も承知しません。
半年の間、番頭の有八が采配をふるって、文字通り床を剥がし、壁まで落して捜しましたが、小粒一つ出てこない有様です。こんなことで倅の荘太郎――今は上州屋の跡取りが、行儀見習という名目で、上州屋へ入って待機している武家出の許嫁お道と祝言も出来ず、店の支配人をしている伯父の常吉、その娘のお信、荘太郎の弟の勇次郎まで、妙にこう対立的な気持で、不安のうちに半歳を過してしまいました。
先代荘左衛門が生きているうちは、深川一円の評判になったほどの平和な家庭ですが――少なく見積もっても三万両の現金は、誰の手に入るだろうか――どうかしたら、誰かもう奪ってしまったのではあるまいか――といった疑いが、家中の空気をすっかり険悪にして、近頃