Classiques japonais avec furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Lisez 三国志(三) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 312 452 caractères · 628 écrans
と、云い添えて、曹操の手もとへさし出した。
「誰か、しかるべき説客はないだろうか」
曹操がたずねると、侍臣のうちから孔融が答えた。
「わたくしの知る範囲では、平原の禰衡しかありません。禰衡ならば、荊州に使いしても、先にひるまず丞相のお名も辱めまいと思われますが」と、推薦した。
「禰衡とは、いかなる人物か」
「わたくしの邸の近所に住んでいるものであります。才学たかく、奇舌縦横ですが、生れつき狷介で舌鋒人を刺し、諷言飄逸、おまけに、貧乏ときていますから、誰も近づきません。――しかし、劉表とは、書生時代から交わりがあって今でも文通はしておるらしいようです」
「それは適任だ」
すぐ召し呼べとあって、相府から使いが走った。
平原の禰衡、字は正平。迎えをうけて、ふだん着の垢臭い衣服のまま、飄々乎としてやってきたが曹操以下の並居る閣のまん中に立つと、無遠慮に見廻して、
「ああ、人間がいない、人間がいない。天地の間は、こんなに濶いのに、どうして人間は、こういないのだろう!」と、大声を発していった。
曹操は聞きとがめて、
「禰衡とやら、なんで人間がいないというか、天地間はおろか、この閣中に於てすら、多士済々たる予の麾下の士が眼に見えぬか」