Classiques japonais avec furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Lisez 三国志(三) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 312 452 caractères · 628 écrans
時に、手足をうごかし、時に口より音を発するからとて、人間なりとは申されん。蟷螂も手足を振舞い蚯蚓も音を発する。――丞相のおん眼はふし穴か、これがみな人間に見えるとは。――ああ、おかしい、ああおかしい」
ひとり手を打って笑う者は禰衡だけで、あまりな豪語と悪たいに、満堂激色をしずめて寂としてしまった。
さすがの曹操も、心中ひどく怒りを燃やしていた。あらかじめ、奇舌縦横の野人と、断りつきを承知で招いたので、どうしようもなかったが、にが虫を噛みつぶしたような面持で、
「学人。さらばそちに問うが、そち自身は、そもそも、なんの能があるかっ」
と、憤然、高いところから声をあらげて質問した。
禰衡は、にんやりと唇を大きくむすんで、傲慢不遜な鼻の穴を、すこし仰向けながら、鼻腔で息をした後、
「――天文地理の書、一として通ぜずということなく、九流三教の事、暁らずということなし。そのことばは、かくいう禰衡を称するためできているようなものだ。……いやまだ云い足らん。上はもって君を尭舜にいたすべく、下はもって徳を孔顔に配すべし。……ちと難しいな。わかるまい。もっとくだけていおうならば、胸中には、国を治め、民を安んずる経綸がいっぱいで、ほかに私慾をいれる余地もないくらいだというのだ。