Classiques japonais avec furigana
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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
Lisez 平の将門 (たいらのまさかど) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 232 193 caractères · 463 écrans
むかしは、祇園の末寺であったらしいが、いまは廃寺同様に荒れはて、不死人等の住むにかっこうな、巣となっている隠れ家である。
「やあ、小次郎」と、不死人は、彼を迎え――「ほかでもないが、いよいよ、純友たちが、伊予ノ国へ帰るというので――その送別を、どうしようか、という相談だが」
不死人は、まず、小次郎に、酒を酌した。
この仲間と親しくなってから、小次郎は、急に酒の手が上がった。酒の味と共に、人間同士の肌合いも覚え、都に知己あり、と思いそめた。
「おれの考えでは、いつも、同じ所で、色気もなく、飲んでいても、曲がない。ひとつ、純友の帰国を送りながら、一しょに、淀川を舟で下り、江口の遊女をあいてに、盛んな送別会をやろうと思うのだが……どうだ、一しょに、行かないか」
「それは、いつですか」
「明後日の朝、伏見に落ちあい、舟の中でも飲み、たそがれには、江口に着こうというわけだが」
「すると、帰りは、その翌日の晩になりますね」
「まあ、三日がかりと思えばいい」
「弱りましたな」
「どうして?」と、不死人は、彼の当惑を見て、笑いだした。
「おいおい。まさか、主人の忠平に気がねしているわけじゃあるまいな」