Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

Lisez 平の将門 (たいらのまさかど) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 232 193 caractères · 463 écrans

Aozora Bunko

すぐ、その辺に、身を伏せていたものだろう。さっと、木蔭や草むらから、十人余りの人影が立ち、桔梗のそばへ近づいた。

さすがに、桔梗が、ア――と、かろい声を流した。ともう、彼女は、馬の背に、押しあげられ、鞍に、布でくくられ、東の方へ、駈け去った。

それを、遥かで待っている者の合図らしく、さっき見えた松明が、またしきりに、野面のうえで、うごいていた。――見ようによっては、野霜の翁と媼へ、何かを、焔で語っているともうけ取れる。

媼と翁は、家のうちへ戻ると、おたがいに、老いの涙のとめどなさを、慰めあった。

「ああ、寂しい。手のうちの珠を失うたような。……けれど、むすめの望みが、かのうたのだ。かなしいような嫁入りではあるが、桔梗の身になって、歓んでやれ。桔梗の心は、もう、豊田へ行っているであろ。いや、遥か野面に見えた松明は、聟殿がみずから振っていた炬かもしれぬ」

夜もすがら、この老夫婦は、桔梗が生まれた時から、きょうまでの想い出を、いくら話しても話しつきないように、語りあっては、泣き沈んでいた。次の日も、この具足師のやしきは、夜のように、ひそまり返っていた。