Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

Lisez 平の将門 (たいらのまさかど) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 232 193 caractères · 463 écrans

Aozora Bunko

「なにっ」

将門のそれにたいする声も、ふるえを曳いて、あとは、

「桔梗や、和子が」

と、いったきりである。

唇のほか、血のいろもない顔を、じっと、持ち耐えながら、

「もっと、詳しくいえ。敵に見つかって、どうしたのだ?」

と、やっと次の語を吐いた。そして、物見の三名を、睨みつけた。

「無残や、お姿も見えません。……血にそんだ船や、あなたこなたに、御衣の袖やら、味方の郎党の死骸は、捨てられてありましたが」

すべてを聞き終らないまに、将門は、山を駈け下りていた。もちろん、すべての彼の部下が、山つなみのような勢いをなして、彼に駈けつづいたことはいうまでもない。

麓に近い平地に、味方の馬十数頭が隠してある。彼は、その一頭へ、とびのった。うしろに、兵が続いて来ようと来まいと、問題ではないらしい。彼はただ、彼の魂が翔けたい方へ、駈けている。

陸閑岸から、彼の妻子の船のある湖辺まで二、三里はある。その間、将門は、道も眼に見えなかった。

蘆荻と、水が近づいた。

晩秋の大気は、水も空も、ひとつの物みたいに、しいんと、澄みきって、そこに、何があったかを、疑わせる。余りにも、自然は、平和であったし、美しすぎるほど、美しい秋を深めている。