Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんぺんちゅうしんぐら

新編忠臣蔵

吉川 英治

Lisez 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 337 181 caractères · 676 écrans

Aozora Bunko

拙者儀は、吉良家の中小姓清水一学と申す者、輿中のまま往来御免くだされたい』

と、明瞭な音吐で云った。

すぐ後に続いて入って来た三平と藤左衛門とは、その声に、あっと耳を打たれた。吉良の領地は上州碓氷郷に千石、三河の幡豆郷は三千三百石あるとは予ねて聞いていた事である。わけても三河の地は吉良発祥の領土で、祖先代々の領民もあれば代官所もあり、当然、国元詰もいるわけだった。

『不覚』

と思いながら、彼の通った後、藤左衛門はすぐ役所の前へかかって、意味は同じだが、立場は全く反対な口上を述べた。関所役人たちは、十分な同情を眼に湛えながら、

『通れ』

と云った。

道は下りへ向って行く。

吉良と聞いては、二人とも感情が激さないでは居られなかった。意地でもと、人足たちを叱したが、三島までは、追い附く事が出来なかった。

伝馬問屋に着くと、朝の雑鬧の中に、再び彼の駕籠を見かけた。驚いた事には、その駕籠を出て、清水一学とよぶ吉良家の男は、悠々と、問屋茶屋の床几に腰を下ろしこんで、茶など啜っているのである。身装も平素のままで、早打扮装えなどは何処にも見えない。

三十歳を出たか出ないかの年頃だった。