Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しぶえちゅうさい
渋江抽斎
Lisez 渋江抽斎 (しぶえちゅうさい) de Mori Ōgai (森 鴎外) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 166 525 caractères · 334 écrans
小桶からは湯気が立ち升っている。縁側を戸口まで忍び寄って障子を開く時、持って来た小桶を下に置いたのであろう。
五百は小桶を持ったまま、つと一間に進み入って、夫を背にして立った。そして沸き返るあがり湯を盛った小桶を、右左の二人の客に投げ附け、銜えていた懐剣を把って鞘を払った。そして床の間を背にして立った一人の客を睨んで、「どろぼう」と一声叫んだ。
熱湯を浴びた二人が先に、に手を掛けた刀をも抜かずに、座敷から縁側へ、縁側から庭へ逃げた。跡の一人も続いて逃げた。
五百は仲間や諸生の名を呼んで、「どろぼう/\」という声をその間に挟んだ。しかし家に居合せた男らの馳せ集るまでには、三人の客は皆逃げてしまった。この時の事は後々まで渋江の家の一つ話になっていたが、五百は人のその功を称するごとに、慙じて席を遁れたそうである。五百は幼くて武家奉公をしはじめた時から、匕首一口だけは身を放さずに持っていたので、湯殿に脱ぎ棄てた衣類の傍から、それを取り上げることは出来たが、衣類を身に纏う遑はなかったのである。
翌朝五百は金を貴人の許に持って往った。手島の言によれば、これは献金としては受けられぬ、唯借上になるのであるから、十カ年賦で返済するということであった。