Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しぶえちゅうさい
渋江抽斎
Lisez 渋江抽斎 (しぶえちゅうさい) de Mori Ōgai (森 鴎外) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 166 525 caractères · 334 écrans
津軽家に奉公したことはあっても、生れてから江戸の土地を離れたことのない女である。それを弘前へ伴うことは、五百がためにも望ましくない。また老いさらぼいたる本人のためにも、長途の旅をして知人のない遠国に往くのはつらいのである。
本妙了は特に渋江氏に縁故のある女ではない。神田豊島町の古着屋の女に生れて、真寿院の女小姓を勤めた。さて暇を取ってから人に嫁し、夫を喪って剃髪した。夫の弟が家を嗣ぐに及んで、初め恋愛していたために今憎悪する戸主に虐遇せられ、それを耐え忍んで年を経た。亡夫の弟の子の代になって、虐遇は前に倍し、あまつさえ眼病を憂えた。これが弘化二年で、妙了が六十五歳になった時である。
妙了は眼病の治療を請いに抽斎の許へ来た。前年に来り嫁した五百が、老尼の物語を聞いて気の毒がって、遂に食客にした。それからは渋江の家にいて子供の世話をし、中にも棠と成善とを愛した。
妙了の最も近い親戚は、本所相生町に石灰屋をしている弟である。しかし弟は渋江氏の江戸を去るに当って、姉を引き取ることを拒んだ。その外今川橋の飴屋、石原の釘屋、箱崎の呉服屋、豊島町の足袋屋なども、皆縁類でありながら、一人として老尼の世話をしようというものはなかった。