Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しぶえちゅうさい
渋江抽斎
Lisez 渋江抽斎 (しぶえちゅうさい) de Mori Ōgai (森 鴎外) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 166 525 caractères · 334 écrans
水杯を酌んだのは、当時の状況より推して、再会の期しがたきを思ったからである。成善は十五歳、五百は五十六歳になっていた。抽斎の歿した時は、成善はまだ少年であったので、この時始て親子の別の悲しさを知って、轎中で声を発して泣きたくなるのを、ようよう堪え忍んだそうである。
同行者は松本甲子蔵であった。甲子蔵は後に忠章と改称した。父を庄兵衛といって、素比良野貞固の父文蔵の若党であった。文蔵はその樸直なのを愛して、津軽家に薦めて足軽にしてもらった。その子甲子蔵は才学があるので、藩の公用局の史生に任用せられていたのである。
弘前から旅立つものは、石川駅まで駕籠で来て、ここで親戚故旧と酒を酌んで別れる習であった。成善を送るものは、句読を授けられた少年らの外、矢川文一郎、比良野房之助、服部善吉、菱川太郎などであった。後に服部は東京で時計職工になり、菱川は辻新次さんの家の学僕になったが、二人共に已に世を去った。
成善は四月七日に東京に着いた。行李を卸したのは本所二つ目の藩邸である。これより先成善の兄専六は、山田源吾の養子になって、東京に来て、まだ父子の対面をせぬ間に死んだ源吾の家に住んでいた。