Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 139 230 caractères · 280 écrans
「御免よ」
わざとお谷と別れて、お勝手口からズイと入った平次と八五郎、
「お、銭形の親分、八兄哥もか」
三輪の万七の子分、お神楽の清吉の苦り切った顔とハタと逢ってしまったのです。
「ちょいと仔細があって縄張違いを承知で覗いたんだ。下手人は挙がったかい、お神楽の」
八五郎は平次を掻き退けるように顔を出します。こう宣戦布告をしておかないと、親分の平次が事勿れ主義で尻込みをするかもわからないと思ったのでしょう。
「下手人だらけだよ。銭形の親分だって、こいつは驚くぜ」
お神楽の清吉は道を除けました。少し持て余し気味の様子です。
「驚かして貰おうか、――親分、入ってみましょうか」
八五郎はすっかり闘争心を煽られて、平次の先に立って家の中へ入りました。
お勝手にもじもじしているのは、下女のお鯉だけ。暗い廊下を通って、閉めた店の中に、手代や小僧たちが、不安そうに囁き合っているのを横手に見て、突き当った最初の部屋が、お皆の殺された問題の場所です。
「銭形の、とうとう嗅ぎ出したのかい」
三輪の万七は苦々しいながらも、少しはホッとした様子でした。事件がむずかしくなって、自分の手ではどうにも裁きようがないと思ってきたのでしょう。