Classici giapponesi con furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 241.861 caratteri · 480 schermate
うちに火のような情熱を宿して、まだ恋を知らぬ十九の萩乃である。庭前の植えこみに、長い初夏の陽あしが刻々うつってゆくのを、ぼんやり見ながら、きびしい剣家のむすめだけに、きちんとすわって、さっきから、身うごきひとつしない。
病父の恢復は、祈るだけ祈ったけれど、いまはもうその甲斐もなく、追っつけ、こんどは、冥福を祈らなければならないようになるであろう……。
萩乃は、いま、まだ見ぬ伊賀の源三郎のうえに、想いを馳せているのだ。
先方の兄と、司馬の父とのあいだに、去年ごろから話があったが、父のやまいがあらたまると同時に、急にすすんで、源三郎さまはきょうあすにも、江戸入りするはずになっているのだ――が、まだお着きにならない。どうなされたのであろう……。
といって、彼女は決して、源三郎を待っているわけではない。父がかってにきめた縁談で、一度も会ったことのない男を、どうして親しい気もちで待ちわびることができよう。
伊賀のあばれン坊としてのすばらしい剣腕は、伝え聞いている――きっと見るからに赤鬼のようなあの、うちの峰丹波のような大男で、馬が紋つきを着たような醜男にきまっていると、萩乃は思った。