Classici giapponesi con furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 241.861 caratteri · 480 schermate
「エエ、お嬢さま。たばこの火を拝借いたしたいもので、へえ」
と、スポンと、煙草入れの筒をぬいた。
水あぶらの撥さきが、ぱらっと散って、蒼味の走った面長な顔、職人にしては険のある、切れ長な眼――人もなげな微笑をふくんだ、美いおとこである。
なんという面憎い……!
萩乃は、品位をととのえて振りむきざま、
「火うちなら、勝手へおまわり」
「イヤ、これはどうも、仰せのとおりで」
と、男は、ニヤリと笑いつつ煙管をおさめて、
「じゃ、たばこはあきらめましょう。だがネ、お嬢さん、どうしてもあきらめられないものがあるとしたら、どうでございますね、かなえてくださいますかね」
と、その鋭い眼じりに、吸いよせるような笑みをふくんで、ジロッと見据えられたときに、萩乃は、われにもなく、ふと胸がどきどきするのを覚えた。
不知火流大御所のお嬢様と、植木屋の下職……としてでなく、ただの、男とおんなとして。
なんてきれいなひとだろう、情の深そうな――源三郎さまも、こんなお方ならいいけれど。
などと、心に思った萩乃、じぶんと自分で、不覚にも、ポッと桜いろに染まった。
でも、源三郎様は、この植木屋とは月とすっぽん、雪と墨、くらべものにならない武骨な方に相違ない……。