Classici giapponesi con furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Leggi 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 213.575 caratteri · 424 schermate
といったような侘しさや不安もないのはありがたい。
山村を離れるとき、附近に住む川合玉堂翁が、いつもの諧謔に富む即興を示された。「新・平家物語」の上でも義仲の都入りを見つつあるから、それで吉川さんも都へ上るのか、といったような意味の狂歌を墨絵に題したものである。ところがどうして、そんな意気込みはとてもない。多少、原稿の余裕ができたら、机をかついで、またまた都落ちのつもりである。
都落ちといえば、平家落去のさい一門自体の手で行われた古巣焼きは、どれほどな範囲の焦土を作ったものか古記もよく誌してないが、しかし、首都の土というものは、じつに何度も何度もよく焼かれているものだとつくづく思う。「方丈記」の筆者が嘆じているのもまったく無理ではない。しかもその鴨長明が一生に見聞した事などは、長い歴史のほんの一コマでしかないのだ。怖ろしい繰返しである。宿業だなんていっていられない、人間愚だ、人間のばかさである。
古典第一巻の“祇園精舎ノ鐘ノ声――”は人間のばかさへの警鐘といってよい。年々歳々の除夜の鐘には、七世紀後の今日もまだ、おなじ余韻がどこかに聞こえるのではあるまいか。