Classici giapponesi con furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Leggi 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 213.575 caratteri · 424 schermate
湯ノ峰から那智の巻
狭い土地では、子を抱いて働ける仕事もないからというのであった。
足柄山の山姥よりこれは生やさしい山中生活ではない。都会なら未亡人問題も叫べようし、この子にミルクを与えよということもできるが、この人は、母であること以外何も思っていないらしい。無智ではなく、多少の教養もあり、都会生活も知っていてである。別れ際に、嘉治さんが、そっと茶代以上の志をあげたらしく、ぼくらが、トヨペットに乗りかけると、追いかけて来て、どうしても、それを取らない。「こんなに、いただいては」とウインドへすがっていう。慰めるに言葉も知らなかった。
回顧して去る、といっても、こういうとき自分の仏心を自分でくらまして早く他の視界へ紛れ込もうと希うさもしい自我をごまかしきれない。国破れて山河有り。これは詩人の表現と知った。その山河の中にさえ、こんな母子がいたのである。(二六・二・一一)
茶売女の乳も涸れがてよ冬の山
湯ノ峰から那智の巻
歩いても、バス、ハイヤーの場合でも「峠」越えはロマンチックだ。一変する視界には何かいいことばかりが待っているように楽しい。ここで、ぼくらの車は、伊勢から紀伊へ跨いだわけだ。