Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ずいひつ しんへいけ

随筆 新平家

吉川 英治

Leggi 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 213.575 caratteri · 424 schermate

Aozora Bunko

名古屋から車窓の近江路

ともあれ、まだ、旅はこれから。

時間とコース予定は仮借もない。ぞろぞろと、その恰好で、旅館の門を出、反町さんを東道に、次の越後路巡りを、まず長岡へ向う。

白浪の足あと凄し朝の月

ぬす人もいづこに秋を深むらん

借着して旅籠立ちけり秋の風

車中、なんだかまだ、おかしさにたえず、時々、思いついては、こんな駄句をひねって、隣の春海さんに示す。「ふウむ……」と大きく鼻の穴でのぞくのみ、春海大人の風懐も、いっこう感興に乗って来ない。(二八・三・二〇)

名古屋から車窓の近江路

旅行に持ち物は大嫌いな性分である。東京駅を立つときから、レインコートを持って行こうか行くまいかで迷っていると、

「こんどの御旅行は降られますよきっと。どうも、長期予報がそんなふうですからね」

と、見送ってくれた社のOさんがレインコートは持つべしだといった。

けれど、翌日の五月三十日の名古屋は予想外な好天気にめぐまれ、朝日主催の中京各流の茶道大会は、鶴舞公園の公会堂がきれいな人々で溢れるほどな盛況だった。

名古屋には平家琵琶の井野川検校が古典を伝えている。この日も古式の服装で“宇治川先陣”の一曲を弾奏した。