Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ずいひつ しんへいけ

随筆 新平家

吉川 英治

Leggi 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 213.575 caratteri · 424 schermate

Aozora Bunko

彼と運命の岩茸

そうした義仲の末路には、たれもが一抹の哀憐と同情をひかれ、それが多少、読者の反響をよんだかと思われる。

彼と運命の岩茸

誌面で、義仲の最期が週ごとに近づくと、読者の手紙にもいろんな意見が見えた。「余り悲惨に死なせてくれるな」というのもあった。しかし、彼の粟津ヶ原の戦死の状は、余りにも諸書に明瞭である。ぼくの作為の余地はない。

その原稿を持って東京へ出る車中で、菊村の女将さんにぶつかった。この人、お婆さんのくせに陽気でまたひどく大声である。「わたしゃあ、法皇っていうのが、憎くって憎くって」と、いかにも実感をこめていうので、車中の乗客は、何かこの老婦人がローマ法王と喧嘩でもしたことがあるのかといった風に奇異な眼をぼくらの方へあつめていた。

また一夕、人に招かれて銀座のハゲ天の奥に坐ると、白い割烹着で座敷天ぷらの長箸を使いながらハゲ天氏がしみじみと「義仲って者も、なんて可哀そうなんでしょうなア」と、油鍋の中の音と一しょにつぶやいた。現代の市井に生きて優勝劣敗の烈しさを軒並みに朝夕見ている人々にも、何か思いのつながるものがあるのであろうか。

彫刻家の朝倉文夫氏からも、氏の義仲感想を、家弟のことづてに伺った。