Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ずいひつ しんへいけ

随筆 新平家

吉川 英治

Leggi 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 213.575 caratteri · 424 schermate

Aozora Bunko

草の実抄

草の実抄

第七巻「みちのくの巻」が出来たのをひもどきながら、偶然おもい出したのは、もう十七、八年も前に歩いた自分の“みちのく旅行”だった。

ふつうの東北方面への旅行を除いて、いわゆる“みちのく”らしい旅を味わったのは、前後二回であった。一度は菊池寛、久米正雄、横光利一、片岡鉄兵などの諸氏と、文芸講演をかねて、のん気に(今のようなスピード旅行でなく)二十日余りを巡遊したおりと、もういちどは唯一人ぼっちで、四十余日間、にぎり飯を腰に、原稿紙入れの小さい旅行ケースを竹杖に挿して肩にかつぎ、毎日怪しげな芭蕉気どりで、てくてく歩いたことだった。

そのころから胃腸が弱く、(今もだが)目的は、治病の方にあったので、一人で出かけたわけである。仙台までは列車でゆき、仙台を振り出しに、あとは大部分(本線の長い距離はもちろん乗ったが)細い脛で、気まかせに歩いた。

塩釜、松島を経、石巻から小汽船で金華山に渡り、帰路は山鳥の渡しをこえて牡鹿半島を縦断し、本線へ出て、一ノ関から平泉地方をめぐり、古間木までは汽車で来て、蔦、おいらせ、十和田、そして小舟で十和田の湖北へ渡った。