Classici giapponesi con furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Leggi 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 213.575 caratteri · 424 schermate
木のない生田ノ森
雨後の山坂を、ゆられゆられ、有馬の御所坊へ着いたのは、もう十一時近くであり、それでも、湯に入ってから、まずあとはあすの史蹟歩きだけになったと、急に気分もかろくなった。そして「このぶんなら腹のかみなりも治まろう」と浅慮にもまた茶など飲んではしゃぎ始めたものである。春海宗匠とても同様、まず大阪の一任をすましたというゆとりも出たせいか、
障子越し硝子越しに有馬の河鹿哉
と物理学的名吟を示され、ぼくも駄句ること三句、
啼いてゐますよとそこ開くる河鹿かな
夜もおそく着きて河鹿にまた更けぬ
水音は二階に高き河鹿かな
やがて部屋を別れ別れに、戸外の河鹿を措いて、こちらは蒲団の襟をかぶった。(二九・七・四)
木のない生田ノ森
夜明けが待ち遠しかった。シクシク大腸が渋ってやまない。いよいよ本ものかナと、旅行中の耐病法など、心細くも考える。
ここでも厠通いに明け、朝とともに、内湯の温泉ツボへ行って沈みこむ。有馬特有なあの鉄泥色の湯にひたっている間は、うすら眠くなり、気分も大いに落着く。
有馬とぼくの下痢症とは、奇縁がある。二十年以上も前だが、白石凡氏が大阪朝日の学芸部長ころ、連載中の貝殻一平を書きつつ高野山の高室院にいたことがある。