Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 241.861 caratteri · 480 schermate

Aozora Bunko

「ソレ、お羽織が通る……」

というんで、誰もこの愚楽老人のことを、まともに呼ぶ者はなかった。城外では、垢すり旗本、殿中では、この、お羽織お羽織で通ったものです。

眼引き、袖引き、ひそかに笑う者があったりすると、愚楽老人、

「御紋が見えぬか」

と、背中のこぶを突き出して、きめつけていく。

真青なお畳廊下。金の釘隠しがにぶく光って、杉の一枚戸に松を描いたのが、ズラリと並んでいる。これが有名な松の廊下……元禄の浅野事件の現場です。

お羽織がそこまでさがってきたとき、お坊主を案内に立てて、向うの角からまがってきた裃姿のりっぱな武士……象のような柔和な眼、下ぶくれの豊かな頬には、世の中と人間に対する深い理解と、経験の皺が刻まれ、鬚にすこし白いものがまじって、小肥りのにがみばしったさむらい。

愚楽老人とその侍が、ちょっと目礼をかわして、すれちがおうとしたとたん、不意に立ちどまった愚楽、

「や! これは奇怪な! なんでこのお羽織を踏まれた。いやさ、なんの遺恨ばしござって、このお羽織の裾を踏まれたか。それを聞こう、うけたまわろう!」

と、やにわに、くってかかりました。