Classici giapponesi con furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 241.861 caratteri · 480 schermate
自分を思っている萩乃のこと、同じく自分に思いを寄せているらしいお蓮様――さては、国の兄……いまだに行方の知れないこけ猿の茶壺のことなど、戞々と鳴る馬の一足ごとに、源三郎の想念は、際限もなく伸びひろがってゆく。
「此馬に一汗かかせてくれよう」
源三郎は大声に、
「つづけっ!」
背後をふりむいて叫びながら、思いきり一鞭くれた。
馬は、長堤に呻りをたてて、土を掻い込むように走り出した。玄心斎、門之丞、谷大八の三人も、おくれじと馬脚を入り乱れさせて、若殿のあとを追う。
木母寺には梅若塚、長明寺門前の桜餅、三囲神社、今は、秋葉神社の火のような紅葉だ。白鬚、牛頭天殿、鯉、白魚……名物ずくめのこの向島のあたりは、数寄者、通人の別荘でいっぱいだ。庵とか、亭とか、楼とか風流な名をつけた豪商の寮や、料理屋が、こんもりした樹立ちのなかに、洒落た屋根を見せている。
源三郎の視野のすみを、それらの景色が、一抹の墨絵のように、さっとうしろへ流れすぎる。
ぽつりと、額を打つ水粒。
「雨だな……」
「若ッ! いったいどちらまで?」
玄心斎が、息をはずませて追いついてきた。
砂煙を立てて、馬の鼻面を源三郎と並べながら、