Classici giapponesi con furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 241.861 caratteri · 480 schermate
四
「この上が川床だとすると――その水であろう」
「点滴石を穿つ――この雨垂れのような水でも、こうひっきりなしに落ちてくるうちには……」
それよりも、今にも川床の地盤がゆるんで、この天井全体が、一時にドッと落ちてくることはないか。
そうすれば。
この地下の部屋全体、一瞬にして水浸しとなる。
逃るる術はない……。
このおそれは、期せずして、今このふたりの心に、同時にわきおこったのだったが、それは、口にすべくあまりに恐ろしい――闇黒にとざされて見えないが、おそらくこの時は、さすがの左膳も源三郎も、ともに顔色が変わっていたに相違ない。
剣をとっては、千万人といえどもわれゆかん――じっさい、この二人がそろっていれば、天下に恐るるもののない柳生源三郎と丹下左膳。
だが――。
柳生一刀流も、左膳の濡れ燕も、水を相手では、どうすることもできないのだ。
闇のなかに、突如左膳は、自分の片腕をギュッとつかむ源三郎の手を感じた。
そして、耳のそばに、伊賀の暴れん坊のささやき。
「オイッ! もうしたたりではない。ほれ、一筋に落ちてきた……」
まことに、そのとおり。
今までポタ、ポタとまをおいてしたたっていた水は、今はひとすじの細い線となって、絶えまもなくそそぎかけてきた。