Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ずいひつ しんへいけ

随筆 新平家

吉川 英治

Leggi 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 213.575 caratteri · 424 schermate

Aozora Bunko

新聞屋にはやらん」と、のたまう。言行おおむねかくの如しである。

翁の事業的功績は大きいが、翁の人生は翁自身の語るものを、すべて素直に伺っても、まことに他愛がないものだ。真珠はあんなに産みもし磨かせもしているのに、翁自身の人間は、いまだに帆立貝のままである。この親帆立貝は、割らない方がいいように思われた。教養的な真珠層は巻いていそうもない。その点、かつてこの九十二翁の生涯を映画化しようという企画をもって、島へわざわざ訪ねたと聞く松竹の大谷竹次郎氏の方が、苦労も権化的な事業欲も似ているが、どこか光のちがいがある。住むところの海と土壌の相違かと思う。

その日の晩、ぼくらは紀勢線の夜汽車に長いことウトウトしていた。佐奈駅から乗って尾鷲まで行くのだ。午、賢島にいたことを考えると、驚くべき長コースで、志摩、伊勢をA字形に自動車と汽車で縦横走して、今夜中に、紀伊半島の尖端に近い漁港まで行こうというわけである。

長島駅で眼をさまし、引本の漁港の灯に、熊野灘を窓外に感じる。やがて尾鷲。駅前から海気にそよぐ狭い灯の町を車で一走、磯の断崖の上にある五丈という変った名の旅館におちつく。