Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ずいひつ しんへいけ

随筆 新平家

吉川 英治

Leggi 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 213.575 caratteri · 424 schermate

Aozora Bunko

彼女は子をつれて歩いていたが、子供はわれらを見るなり、天竺人、天竺人、と大声で叫んだ。悪魔がいわしめたものであろう」と書いている。

高倉院厳島御幸記の筆者が見た内侍たちと、フロイスの眼に映じた内侍とは、時代もちがうが、こんなにも違っていた。つまらない空想を逞しくするようだが、かりにこのフロイスやヴィレラなどを、源氏物語の世界へ連れて行って、女三の宮の寝みだれている寝室とか、光る君や藤壺の生活をのぞかせてみたら、なんというだろう。やはり紫式部の眼とは、まったくべつなものを見たことにちがいない。

ぼくはそのどっちも、まちがった見方とは考えない。どっちが見たものもほんとだと思う。

なにしろ、心ぼそい時間のなさだ。寸陰も惜しまれてくる。暮れ迫るままに深まる物のあいろは、陰翳の美を見るにはよく、現実を見るには都合がわるい。

「宝物館がもう閉まる時間なんですよ。待たせてはおきましたがね」と、権宮司さんがいうのにも、気がせかれる。後ろについて、西廻廊の出口から、履き物をはきかえ、御手洗川の石橋を渡ってゆく。入母屋式の、平安朝風、鉄筋コンクリート。歌舞伎座を小さくしたみたいな耐火建築だ。