Classici giapponesi con furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Leggi 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 213.575 caratteri · 424 schermate
おやおやいけない。少ない窓さえ半分以上、もう閉めかけられている。絵画、彫刻、武具、漆工芸、古文書類など、ケースの硝子ごしにのぞいてゆく。ああこんな不用意に、行きずりの眼でたどってさえ、藤原文化のそこはかとない匂い、平家文化に彩られた落日の荘厳にも似るあれこれの物が、たちまち、七百年の空間を超えて、ぼくらに時を忘れさせてしまう。
「あ、これですね。前田青邨氏が賞めておられた卯ノ花縅しは」と、嘉治さんは杉本画伯と共に鎧の前にたたずむこと久しい。それは伝平ノ重盛の紺糸縅しと隣り合っていた。ぼくは背中合せに、同じ人、小松重盛が納めた物という青貝の松喰い鳥をちりばめた細太刀の姿に見惚れてしまう。どうして一筋の刀の鞘や柄に、こうまで行き届いた良心と優雅な表現を打ち込めえたものかと感心する。重盛よりは、作者の工匠に、尊敬を禁じえない。あの時代の工芸家、美術家たちが、物ゆたかに、特権的な生活をしていた者でないことは、国宝「絵師草子」絵巻の絵師の生活を見てもわかる。おそらく、食生活の貧しさ、家居のみじめさ、資料の乏しさなど、現代のどんな売れない無名画家や工芸家より以下であった。