Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ずいひつ しんへいけ

随筆 新平家

吉川 英治

Leggi 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 213.575 caratteri · 424 schermate

Aozora Bunko

けれど由来、清盛の死も、史家の間には異説ふんぷんで定説がない。曰く、大熱を伴う流感か。否、当時の悪疫の一種なるべし。否々、宋の南方物資の輸入につれて保菌者の持ち来れるマラリヤの感染ならんか。――などという奇説まである。

重盛にこりて、こんどはぼくも、誤診や不用意のないよう、今から諸家の高説や史料の分析に何かと心がけておこう。

作家にとって、痛い苦情もある。その一つ。

「あなたの書く物には、悪人がないではないか。少納言信西でも、朱鼻の伴卜でも、悪左府でも、以後の悪党らしいやつも、末路へ来ると皆いつのまにか、憎めない人間みたいになってしまう。第一、入道清盛がそうである。現実のわれわれの社会は、悪にみちているのに、これはどういうわけか。絵そら事とひとしいものを、あなたの小説と思えばよいか」

この答えは、かんたんにできない。社会観とか人間観とか、また歴史を通して、今日から過去への人間万様な生き方をながめて――とか、とにかく、ぼくの思いのありったけを吐露しなければ「そうか、貴様はそういう考えか」と、得心して貰えそうもない。

事実、ぼくは現実の中でも、人間というものを、どんな人でも憎めない。