Classici giapponesi con furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 241.861 caratteri · 480 schermate
馬を彫らせては当代随一の作阿弥――そういえば、いつかこの部屋で、隅にころがる半出来の馬のほりものを一眼見て、この老人の素姓を看破したのは、この蒲生泰軒だった。
これだけの名人作阿弥が、どういうわけで羅宇なおしの作爺さんになりきって、曰くありげな孫むすめお美夜ちゃんと二人っきりで、今このとんがり長屋にかくれすんでいるのか、その仔細はまだわからない。
あるいは、泰軒は知っているのかもしれないが――。
御気分はどうじゃナ……といった泰軒先生の問いに、作爺さんは重い頭をあげて、
「イヤ、至極良好、快方に向かいつつある――と申しあげたいが、ざんねんながら、いっこうにはかばかしからぬ。もうこれきり、鑿を手にすることもかなわぬかと思えば……」
もう作阿弥ということを知られていますから、言葉つきも、長屋の作爺さんを捨てて、本来のままです。
「うわはははは」
と泰軒は、わざと大声に笑いとばして、
「なんの大名人ともあろう人が、それしきの病に、そんな気の弱いことを」
薬研を摺る手に、力を入れて、
「この稀薬を手に入れたからは、病魔め、おそれいって退散するに相違ないテ」
はたしてそんなにきく稀薬かどうかは知りませんが、泰軒、さっきお美夜ちゃんの手を引いて出て、なけなしの銭をふるって買ってきたんです。