Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 241.861 caratteri · 480 schermate

Aozora Bunko

「壺を持って出てくるおれを、白い顔に大きな眼をみはって、ジッと見送っていたっけ……」

筆の穂尖に墨をふくませながら、左膳は今、口の中にうめいた。

夜風とともに、恋風をひきこんじまった丹下左膳。

恋の奴の、剣怪左膳――。

左膳の妖刃、濡れ燕も、糸し糸しと言う心……戀の一字のこころのもつれだけは、断ちきることができないでございましょう。

イヤどうもとんでもないことになっちゃった。たった一つの眼も、恋にくらむとは、えらいことになるもので。

萩乃さんの身にとっては、門之丞という一難去って、また一難。虎が躍りでて、狼をかみころしてくれたのはいいが、こんどはその虎が、爪をみがいて飛びかかろうとしているようなもの……。

ですけれど。

恋にかけては、とっても内気の左膳なんですネ。

「なんと書いたらいいものだろうなア」

くちびるに墨をぬりながら、またつぶやいた。

これでみると、左膳のやつ、さっそく萩乃のところへ、手紙をやろうとしているらしい。

かたわらで、こけ猿の茶壺が、早くあけてくれ、早くあけてくれと、声なき声を発するがごとく――。

五

左膳、萩乃に心をとられて、せっかく手に入れたかんじんかなめのこけ猿を、たとえ一瞬時でもわすれたわけではございません。