Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Leggi 明暗 (めいあん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 322.590 caratteri · 645 schermate

Aozora Bunko

しかしいくら考えても、見当らないものはやッぱり見当らなかった。しまいに小林が笑いながら、その宅の名を云った時に、津田ははたして驚ろいたように大きな声を出した。

「吉川? 吉川さんへまたどうして行ったんだろう。何にも関係がないじゃないか」

津田は不思議がらざるを得なかった。

ただ吉川と堀を結びつけるだけの事なら、津田にも容易にできた。強い空想の援に依る必要も何にもなかった。津田夫婦の結婚するとき、表向媒妁の労を取ってくれた吉川夫婦と、彼の妹にあたるお秀と、その夫の堀とが社交的に関係をもっているのは、誰の眼にも明らかであった。しかしその縁故で、この問題を提さげたお秀が、とくに吉川の門に向う理由はどこにも発見できなかった。

「ただ訪問のために行っただけだろう。単に敬意を払ったんだろう」

「ところがそうでないらしいんだ。お秀さんの話を聴いていると」

津田はにわかにその話が聴きたくなった。小林は彼を満足させる代りに注意した。

「しかし君という男は、非常に用意周到なようでどこか抜けてるね。あんまり抜けまい抜けまいとするから、自然手が廻りかねる訳かね。今度の事だって、そうじゃないか、第一お秀さんを怒らせる法はないよ、君の立場として。