Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Leggi 明暗 (めいあん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 322.590 caratteri · 645 schermate

Aozora Bunko

津田がこう云って興じているところへ、本人のお延がひょっくり顔を出したので、ふり返った看護婦は驚ろいて、すぐ膳を持ったなり立ち上った。

「ああ、とうとういらしった」

看護婦と入れ代りに津田の枕元へ坐ったお延はたちまち津田を見た。

「来ないと思っていらしったんでしょう」

「いやそうでもない。しかし今日はもう遅いからどうかとも思っていた」

津田の言葉に偽りはなかった。お延にはそれを認めるだけの眼があった。けれどもそうすれば事の矛盾はなお募るばかりであった。

「でも先刻手紙をお寄こしになったのね」

「ああやったよ」

「今日来ちゃいけないと書いてあるのね」

「うん、少し都合の悪い事があったから」

「なぜあたしが来ちゃ御都合が悪いの」

津田はようやく気がついた。彼はお延の様子を見ながら答えた。

「なに何でもないんだ。下らない事なんだ」

「でも、わざわざ使に持たせてお寄こしになるくらいだから、何かあったんでしょう」

津田はごまかしてしまおうとした。

「下らない事だよ。何でまたそんな事を気にかけるんだ。お前も馬鹿だね」

慰藉のつもりで云った津田の言葉はかえって反対の結果をお延の上に生じた。