Classici giapponesi con furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Leggi 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 213.575 caratteri · 424 schermate
「何です、工場の中にあるというのは」「遊女塚ですよ。ほら、ゆうべも、あさかの席で、話に出たでしょ。そいつをね、どうせ、江口へ行く途中ですから、ご案内してあげようと思いましてね」
後ろで、笑ったりしては、いけない、御好意、なかなかである。
交番で訊く。ぐるぐるまわる。わからない。そのうちに、風老。「あ、神崎橋、この下が、十三橋なんだろ。この辺、この辺」と、運転をコーチして呼ぶ。川の西岸をむやみに行く。旅の子の心細さいわんかたなし。さっきの交番所でも、「それは今、××会社工場と、会社名が変っているんじゃありませんか」といわれたもの。もっとも、その注意によってようやく所在のヒントは得たらしい。
じつのところ、ぼくも悪かった。ゆうべの会では、旧友諸氏に会った楽しさと、食べる方にも気をとられ、きょうの遺蹟順礼は、大阪近郊ではまず「江口の君の跡」一ヵ所にとどめ、午後は日いっぱい神戸附近をと、ひとりぎめしていたのである。そのため、砕花氏ののみこんでいる「遊女塚」の方は、昨夜、聞きのがしていた。
だが、こう、風のまにまについて歩いた以上、欲も出てくる。探せるものなら探しあてたい。