Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ずいひつ しんへいけ

随筆 新平家

吉川 英治

Leggi 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 213.575 caratteri · 424 schermate

Aozora Bunko

あの、一分刈りほどの尼さんの頭の毛にちょびと乾きついていた血が眼にうかぶ。淀川のひろい闇と、半開的な工場地との谷間で、小さい火鉢にかけられた瀬戸ひき鍋は、二人の尼さんの夜のために今ごろ、何をくつくつ煮ているだろうか。――八世紀前には、天皇、皇子、大臣公卿にいたるまでのみやび男をひきつけた魅力の土壌が、あれであった。儚いというようなことばではいいきれない変化である。そのいやな変化は人間のいる所につきまとって、寸秒の無変化もゆるしてはおかない。

こんなことを考えられていては、ミス神戸たちこそ、災難である。程なく出て、栄町をあるく。

さきに行く砕花氏と嘉治さん、またどこかへ寄るつもりらしい。ガード下の露店街を見て、急に海岸通りの方へ曲がる。むかしの上海租界にでもあったような門のベルを押す。西村貫一氏の家だという。旅館時代に泊った縁を思いおこす。ガーデンをこえ、叡智で建てたバラックだと主の自慢する洋館にはいりこむ。貫一氏カンカンと放談放笑。神戸の名物インテリといわれる所以を五分間で客にうなずかせてしまう。

奥さんから、薄茶をいただく。御亭主は、書斎の方へ来給えと急ぐ。