Classici giapponesi con furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Leggi 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 213.575 caratteri · 424 schermate
きのう、清盛の雪ノ御所をたずねて、麓まで行った会下山は眼のまえだ。摩耶、鉄拐、鉢伏など、神戸から須磨明石へかけて、市街の背光をなしている低山群も、山姿すべて鮮らかである。雨後の朝陽が、市街の山の手から、一ノ谷、内裏跡、戦の浜などまで、手にとるように見せてくれる。
史蹟歩きと称しながら、これは横着な見物の仕方にちがいない。「なぜおまえは神戸まで来ながら、一ノ谷へ行かないか。鉢伏や鉄拐ヶ嶺にも登って、源平盛衰記に、蟻ノ戸渡りとある場所だの、御所址、陣門址だの、また熊谷直実が敦盛をさし招いた扇松なども、見ておかないか」――と帰京後、この地方の読者から、数通に及ぶ投書のお叱りもあった。
そこで、いいわけするが、福原旧都といい、大輪田ノ泊といい、一ノ谷古戦場群といい、この附近には、余りに史蹟が多すぎる。匆忙半月のコースには組みきれない。それにまた他日、出て来るのも簡単だしというわけで、きょうは、車窓に見て過ぎたわけだった。
平家潰走の序幕となった寿永合戦を思うとき、ぼくはいつも後白河法皇の御存在がまず連想にのぼってくる。臣列の中にも稀れな策士型のあの御性格は、皇統のお方としてはまことに珍しい。