Classici giapponesi con furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Leggi 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 213.575 caratteri · 424 schermate
あるいは、北九州へ逃げ上がった友軍や肉親のたれかれを探して、果てなくさまよい歩いたかもしれない。
自然に任せてある疎林の庭さきは、倒映湖の冬枯れた渚に垣もなくつづいている。いま越えて来た由布嶽の影が、くっきり水面に落ちていて、そこにも雪があるのかと怪しまれた。縁先に、足を投げ出して、甘酒を飲む。その甘酒がまた、余りに濃いので、薬缶の湯を取って、半分にうすめる。「これで、なお美味くなった」と、ぼく。「どれどれ」と健吉画伯が真似る、Oさんも真似る。「ほんとだ。ちょうどいい」――もって、由布院盆地の人情、経済、この旅館の居ごこちなど、およそ卜すに足りるといったら、甘酒から「その方が私より甘いですぞ」と笑われるだろうか。
嘉治さんいつのまにか、烏の行水をすましてくる。甘酒の上にまた、干し柿が出た。たれも食べてがないかと思うと、みなよく食べる。人がそう食べるのにと、ぼくも食べる。胃袋でなくつい手が食べるみたいなものだ。宿の若主人かと思う人も見え、小杉放庵氏や虚子氏の来たことなど雑談に出る。いること三十分で宿を立つ。
帰りの由布嶽越えは、夕方ちかい。
来る時にも見かけたが、この山深い所の未完成道路に、山村の娘や中年の女が、男と一しょに土工をしていた。